②涙で綴るパパへの手紙
私の両親は一時期毎晩
飽きもせず口論を繰り返していました
とはいっても
私は爆睡しており
それに氣付くことは
殆どなかったのですが
しょっちゅう母親に起こされては
弟と一緒に車に乗せられ
母の実家へと連れて行かれました
母子三人片道20分ほどの
深夜のドライヴです
夫婦喧嘩の原因は
昨日の記事に書いた父のアレです
あの氣の強い母が泪を流していたり
(父方の)祖父が
仲裁にやって来たりすることもありました
小学校高学年になる頃には
両親の不仲は少し治まったようでしたが
中学生になったとき
一生涯忘れ得ない
ある事件が起きます
ところであなたには
『理想の父親像』って
ありませんでしたか?
私にとっての
理想の親子関係はコレでした
センセーショナルなドラマ
毎回恒例の風呂場のシーン
息子が
思春期特有の悩みを打ち明け
父は真摯にそれに答え
絆を深めるという
憧れましたねー
私の場合
自分の悩みは
独りで抱えて独りで解決してたし
現実世界の父は
何でも臆せず話せるような
そんな相手ではなかったですからね
そもそも
殿下(小野寺昭さん)のように
爽やかでも優しくもないし
そう
うちの父親は
太っていてカッコ惡かった
そんな父が
私が中学三年で
弟が中学一年のときに
なんと
中学校のPTA会長になったのです
それだけなら
特に問題ないのですが
今度の運動会の日に
全校生徒の前で
挨拶をするというのです
出たがりな父は
前日からテンション高め
おそらく
翌日のパフォーマンスのことでも
考えていたのでしょう
その様子を横目で見る
私と弟には
もう嫌な予感しかありませんでしたね
そして運動会当日
前夜の雨乞いも空しく
雲一つない快晴の朝でした
白いジャケットに白いパンツ
加えて白い帽子という出で立ち
喪黒福造の
白ヴァージョンを想像してみてください
大体あんな感じです
「次はPTA会長からの挨拶です」
グラウンドにアナウンスが響き渡り
ドカドカと壇上に登場した父
いよいよ
最惡の瞬間が訪れます
高らかに右手を上げ
腹の底から第一声
みなさん、おはよう!
・・・シーーーン・・・
場は一瞬にして凍りつき
しばしの静寂の後
ザワつき始めます
「あれって、のぞみューの父さんじゃない?」
そんな囁きが
あちらこちらから聞こえて来ます
私は俯いたまま
その顔を上げることは出来ませんでした
本当にこの世界から
消えて失くなりたかった…
少し離れた場所に居る
弟の身の回りでも
まったく同じ現象が起きていたそうです
帰宅後は当然
弟と二人父を糾弾です
しかし
父はまったく惡びれる様子もなく
やったったと云わんばかりのドヤ顔で
ご満悦の様子
余計に腹が立ちました
本当の地獄は
次の登校日から始まるのですがね…
物語はまだまだ続きます。